ブランドストーリーの作り方|”語ることがない”中小企業が物語を見つける5つの視点

「ブランディングをしたいけれど、うちには語れるような話がない」
「劇的なエピソードもないし、立派な理念を掲げているわけでもない」
―そんな声を、中小企業の経営者様から聞く機会が増えています。
ただし、物語がないのではありません。
社内では当たり前になりすぎて魅力的に見えていないだけです。
ブランドストーリーは、「当たり前」―自社の”らしさ”―を掘り出して並べ直したものです。
物語を語ることで知名度以外の判断材料になり、選ばれる理由になります。
本記事を読むことで、社内に埋もれている話を掘り出しストーリーとしてまとめることが可能です。
動画制作からSNS運用まで一括支援するMOGROWが次のことを解説します。
この記事で分かること
- ブランドストーリーとは何か、中小企業に効果的な理由
- 「うちには語ることがない」と感じてしまう理由
- 語れる話を見つける5つの視点
- 集めた話を物語にする3つの型
- 作ったブランドストーリーの使いどころ
ブランドストーリーとは?中小企業にこそ効く理由
ブランドストーリーの定義を整理します。
ブランドストーリーは「会社の物語」
ブランドストーリーとは、会社がなぜ今の事業をしているのかを、順序立てて語ったものです。
企業ストーリーと呼ばれることもあります。
商品やサービスの説明ではなく、その裏側にある想いや社内の空気を伝えます。
ブランドストーリーづくりは立派なエピソードを書き起こす作業ではありません。
すでに社内にあることを、順序を整えて伝わる形にすることです。
知名度に頼らない中小企業ほど、ストーリーが効果的
名前が広く知られていない中小企業ほど、ブランドストーリーは効果を発揮します。
効果が出やすい理由は次のとおりです。
- 知名度以外の判断材料になる:条件が近い会社が並んだとき、比較できる要素が増える
- 求職者が”ファン”になってくれる:働く場所を選ぶ理由が、待遇以外にも見つかる
- 社員が同じ方向を向く:会社の判断基準がそろい、それに共感した社員が定着する
3つ目は見落とされがちな効果です。
共感して定着した社員ほど、自社を良くしようとします。
その働きが評価され、また長く働く理由になる。
ブランドストーリーは社外向けと思われがちですが、この循環をつくる側面も持っています。
中小企業のブランディング全体の考え方は、【経営者必読】中小企業のブランディング動画|”らしさ”で信頼を積み上げる映像戦略で詳しく解説しています。
「うちには語ることがない」と感じる3つの理由
作り方に入る前に、その手前でつまずく理由を整理します。
「語ることがない」と感じる原因は、自社の魅力に気づけていないことにあります。
1. 毎日やっていることは、価値だと気づけない
20年続けてきた検品の手順、朝礼で交わす言葉、職人の段取り。
社内で当たり前になっているものほど、価値として認識されにくくなります。
2. 物語=劇的なエピソードだと思い込んでいる
倒産寸前からの再起や、創業者の劇的な決断。
そうした話がなければならないと考えると、「うちには物語がない」となります。
地道に続けてきたこと自体が物語です。
3. 社員も自社の魅力を言語化できていない
社員も経営者様と同じ環境で働いています。
毎日の仕事の中に語れるものがあるとは、社員自身も思っていません。
社内で相談しても、ストーリーが出てこないのはそのためです。
3つに共通するのは、社内にいる限り気づきにくいということです。
だからこそ、外からの気づきを借りて掘り起こす方法が必要になります。
ブランドストーリーを作るための5つの視点
前章で見たとおり、社内にいる限り自社の”らしさ”は見えにくいものです。
そこで、顧客・社員・過去の判断・現場・断られた記録の5か所を順に見ていきます。
新しく生み出すのではなく、すでにあるものを掘り起こしていくのです。
①顧客に「なぜうちを選んだか」を聞く
顧客が言葉にした選定理由は、そのまま物語になります。
ここで出てくる言葉は、経営者様が考えている強みとずれていることがあるためです。
自社では気にも留めていなかった点が、決め手として挙がることもあります。
そのずれこそが、社内では見えていなかった”らしさ”です。
②社員が入社を決めた理由と、続けている理由を聞く
求職者に向けて語れる話は、すでに社内にあります。
とくに勤続の長い社員の話が有効です。
働き続けている背景には、待遇以外の理由があります。
それは、求職者にとっても選ぶ理由になります。
③創業から今までの「分かれ道」をたどる
劇的な創業ストーリーである必要はありません。
事業を選んだ理由、断った仕事、思い切った設備投資。
判断が分かれた場面をたどります。
大事なのは出来事ではなく、なぜその選択をしたのかです。
同じ「新しい機械を導入した」でも、理由を語ればこれまでの軌跡とこれからの方向性がストーリーになります。
とくに、引き受けなかった仕事は強い材料になります。
無理な納期の案件を断ったり、得意ではない分野の依頼を他社に譲ったりした。
断る理由には、その会社が何を優先しているかが表れるためです。
④毎日の当たり前を、第三者に見てもらう
社内で見えなければ、外部の目を借りて見つけます。
工場見学に来た取引先が驚いた点、中途社員が最初に戸惑った点。
社内では説明するまでもないことが、外から見ると特徴として映ります。
MOGROWがお手伝いできるのも、この部分です。
撮影に入る前の企画段階から、なぜこの仕事を続けているのか、どんな判断をしてきたのかを一緒に整理します。
社内では聞かれることのない問いに答えていく過程で、経営者様や社員が意識していなかった価値を言語化します。
第三者が問いを立てることで、社内では出てこない言葉が引き出されます。
⑤断られた理由・失注の記録を見る
5つ目は、うまくいかなかった記録から探す方法です。
「他社より高い」と言われて失注した案件があるなら、その価格差の理由が自社の特徴です。
- 工程ごとに人手をかけて確認し、安心を提供している
- 材料の質を落とさず、品質を担保している
- 納品して終わりにせず、その後のサポート体制を構築している
選ばれなかった理由には、選ばれている理由が裏返しで表れます。
ブランドストーリーにまとめる方法|5つの要素と3つの型

この章では、前章で集めた話を物語の形に組み立てる手順を解説します。
どんなブランドストーリーにも共通する5つの要素
ブランドストーリーは、5つの要素がそろうと物語として成立します。
前章で聞き取った話を、次の5つに振り分けていきます。
- 誰が(主人公):会社、創業者、社員、あるいは顧客
- 何に困っていたか(課題):主人公が直面していた状況
- どう向き合ったか(行動):そのときに選んだ判断と行動
- いまどうなったか(結果):行動の先にある現在の状態
- なぜ続けるのか(価値観):これからも変えないと決めていること
5つの中で、他社と重ならないのは価値観です。
課題も行動も結果も、似た会社は存在します。
それでも価値観は、その会社だけのものです。
ここが空いたままだと、単なる会社の説明で終わります。
3つの型に当てはめる
要素がそろったら、次は並べ方です。
中小企業で使いやすい型は、次のとおりです。
| 型 | 向いている会社 | 主役 | 組み立て方 |
| ①課題→挑戦→いま | 創業期や事業転換に転機がある会社 | 創業者・経営者 | 困っていた状況、取り組んだこと、いまの状態を順に語る |
| ②顧客の変化を語る | 自社の話をしにくい業種、受託型 | 顧客 | 顧客が抱えていた課題と、その後の変化を語る |
| ③続けてきたことを語る | 目立った転機がないと感じる会社 | 会社・社員 | 変えていない価値観や、断ってきたことを軸に語る |
転機がはっきりしているなら型①、自社より顧客を主役にしたいなら型②、目立った転機がないと感じるなら型③です。
型③は劇的なエピソードがないと感じている会社に有効です。
受けない仕事の線引きを続けてきたなら、なぜその線を引いたのかが語る中身になります。
ここには、「価値観」の要素がそのまま使えます。
3つの型に優劣はありません。
集めた話が最も多く入る型を選ぶのが、遠回りしない方法です。
次章では、実際にこの型がどう使われているかを事例で紹介します。
ブランドストーリー事例3選
この章では、MOGROWが制作した3つの事例を紹介します。
価値観を軸にした型③、商品開発の過程をたどった型①、そして型を選ぶ手前の考え方を示す事例の順に見ていきます。
株式会社王宮様|価値観を主役にした事例(型③)
大阪を拠点にホテルを運営する株式会社王宮様の事例は、経営理念そのものを軸に据えた形です。
「日本と世界の架け橋になる」という理念に共感するオーナー様との出会いを目的に制作しました。
メインメッセージは「利益のパートナーではなく、理念のパートナーを探しています」です。
理念に共感した方から問い合わせをいただくことで、同じ価値観を持った状態から商談を始められます。
一方で、利益を重視される方には合わないことが早い段階で伝わります。
誰に向けた会社かをはっきりさせることも、ブランドストーリーの働きの一つです。
八日市商工会議所様|商品開発の過程を物語にした事例(型①)
八日市商工会議所様の事例は、完成した商品ではなく、そこに至るまでを物語にしたものです。
「地元の魅力をつくりたい」という出発点から、9事業者で商品案を練り、勝運の神をまつる太郎坊宮にちなんだ「勝運太郎棒カツ」が生まれるまで。
開発の順序をそのまま追う構成にしています。
商品の説明だけなら、味や価格を並べれば済みます。
なぜこの商品が生まれたのかを伝えることで、地域の物語として残る形にしました。
滋賀県湖南市 健康政策課様|30秒で「なぜ」を伝えた事例
3つ目は、型に当てはめる手前の参考事例です。
湖南市健康政策課様の事例は、事業の中身より先に「どうしてこの事業をするの?」を伝える構成です。
市内の運動習慣や生活習慣病の状況を示したうえで、参加方法の説明に入ります。
なぜやるのかを伝えることで、30秒の短い尺でもしっかりと伝わります。
作ったブランドストーリーの使いどころ
制作したストーリーは、発信してはじめて意味を持ちます。
この章では、映像で伝える理由と、届ける相手を整理します。
ブランドストーリーは映像で伝わる
ブランドストーリーを伝えるなら、映像が最も適しています。
なぜその選択をしてきたのか、なぜ今も続けているのか。
そこには、語る人の表情や声、現場の空気、そして熱量が含まれます。
文章では、そのすべてを表現できません。
「品質にこだわっています」という一文と、20年同じ手順を守ってきた職人が手を動かす映像。
同じことを伝えていても、受け手の印象は全く異なります。
前章で紹介した3つの事例も、すべて映像です。
理念、商品開発の過程、事業の目的。
いずれも言葉だけでは伝わりにくいものを映像で届けています。
1本のストーリーが、3方向に届く
冒頭で挙げた3つの効果は、映像にすることで同時に届きます。
- 求職者:応募前の判断材料になる
- 取引先:価格以外の選択肢になる
- 社員:採用や商談の場で、自社を説明するときの土台になる
1本で3方向に届くのが、映像の強みです。
だからこそ、会社が何を大事にしているかを軸に据えることが重要です。
ブランドストーリーの作り方に関するよくある質問
- Q
創業のエピソードが特にない会社でも作れますか?
- A
作れます。劇的な出来事がない会社には、型③(続けてきたことを語る)が向いています。変えなかったこと、断ってきた仕事が軸になります。
- Q
誰が作るのがよいですか?
- A
まずは経営者様を起点にすることをおすすめします。なぜその選択をしてきたのかを語れるのは経営者様だからです。詳しくは経営者の想いが、会社のブランドになる|社長が”らしさ”を語るべき理由が参考になります。
- Q
どれくらいの長さにまとめればよいですか?
- A
用途によって変わりますが3分〜5分程度が目安です。長さから決めるのではなく、誰に何を伝えるかを先に決めるのが順序です。
- Q
何本も作らないといけませんか?
- A
軸となる1本があれば十分です。会社が何を大事にしているかが定まっていれば、採用向け、商談向けと使い分ける動画は、そこから派生させて作れます。まず1本を固めることを優先してください。
- Q
どこから発信すればよいですか?
- A
まずは自社サイトとYouTubeです。SNSでの継続的な発信は、そのあとで検討して構いません。
まとめ|ブランドストーリーの作り方に特別な物語は要らない
この記事では、ブランドストーリーについて次のことを紹介しました。
この記事で紹介したこと
- ブランドストーリーは、社内の「当たり前」を掘り出して並べ直したもの
- 語ることがないのではなく、気づきにくいだけ
- 顧客・社員・過去の判断・現場・失注の記録から掘り起こす
- 5つの要素に振り分け、3つの型のどれかに並べる
- 映像にすれば、求職者・取引先・社員の3方向に届く
ブランドストーリーでつまずく原因は、語れる話がないと思い込んでいることです。
顧客が発注を決めた理由、社員が辞めなかった理由、無理な依頼を断ってきた判断。
語れる話はすでに社内にそろっています。
あとは掘り出し、5つの要素に振り分け、型に沿って並べるだけです。
とはいえ、掘り出した話が本当に伝わるものなのか、社内では判断がつきません。
どの型に入れるか、映像にどう落とし込むかも、初めてであれば迷うところです。
MOGROWは、中小企業の経営課題を映像で解決する会社です。
何を語るかを一緒に整理し、動画とSNS運用まで一括で伴走します。
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\まずは30分、話を聞くだけでも大歓迎です/