採用は「経営課題」である|中小企業の社長が、採用に本気で関わるべき理由

- 採用がうまくいかない
- 求人を出しても応募が来ない
- 採れたと思っても、すぐに辞めてしまう
多くの社長が、これを「採用のやり方」の問題だと考えます。
媒体を変えてみる、動画をつくってみる、と手は打つ。
けれど、なかなか変わらない。
なぜでしょうか。
結論から申し上げると、採用がうまくいかない原因の多くは、戦術ではなく「経営の中での位置づけ」にあります。
採用を、人事や現場に任せる「業務」として扱っているうちは、何を変えても続きません。
採用は、社長が本気で関わるべき「経営課題」なのです。
この記事では、なぜ採用が経営課題なのか、社長が関わると何が変わるのか、そして何から始めればいいのかを、私たちが現場で実際に見てきた対照的な事例も交えながらお話しします。
読み終えたとき、自社の採用への向き合い方が、少し変わっているかもしれません。
なぜ採用は「経営課題」なのか
まず、なぜ採用を「経営課題」と呼ぶのか。
その理由から整理します。
採用は“今年の人手”ではなく“会社の未来”を決める
採用というと、「足りない人手を補充すること」と捉えられがちです。
けれど、採用で決まるのは、今年の人手だけではありません。
どんな人が入るかで、5年後、10年後の会社の姿が変わります。
新しく入った人が、やがて現場を支え、後輩を育て、会社の文化をつくっていく。
つまり採用とは、会社の未来そのものを形づくる行為です。
これを「補充」という短い時間軸だけで見てしまうと、本当に大切な判断を見誤ります。
会社の未来に関わる決定は、経営課題以外の何物でもありません。
人が採れない・辞めるは、立派な経営リスク
人が採れない。
せっかく採っても辞めてしまう。
これは、現場の困りごとである以上に、経営を揺るがすリスクです。
人手が足りなければ、受けられる仕事に限りが出る。
既存の社員に負担が集中し、その人たちまで疲弊して辞めていく。
採用難は、放っておけば事業の成長を止め、最悪の場合は縮小につながります。
資金繰りや設備投資と同じ重さで、社長が向き合うべき経営テーマなのです。
多くの中小企業で、採用が「現場任せ」になっている
ところが現実には、採用を経営課題として扱えている中小企業は、多くありません。
場当たり・募集時だけ・基準がブレる
よくあるのは、「人が辞めた」「忙しくなった」というタイミングで、慌てて募集をかけるパターンです。
必要になってから動くので、いつも場当たり的になる。
採用の基準も、その時々で変わります。
急いでいるときは「とにかく人手がほしい」と条件を緩め、余裕があるときは厳しくする。
これでは、どんな人と働きたいのかという軸が定まらず、ミスマッチが起きやすくなります。
「採用担当の仕事」にした瞬間、続かなくなる
そしてもう一つ。
採用を「採用担当の仕事」「現場の仕事」として丸ごと任せてしまうと、多くの場合、続かなくなります。
担当者は、本業を抱えながら片手間で採用に取り組むことになる。
経営からの後押しもないまま、一人で発信や選考を回そうとして、忙しくなれば止まる。
これは担当者の責任ではありません。
採用を経営から切り離し、現場に押し付けてしまった構造の問題です。
採用を経営課題として捉えると、何が変わるか
では、採用を経営課題として捉え直すと、何が変わるのでしょうか。
発信や選考に一貫性が生まれる
社長が「どんな人と、どんな会社をつくりたいか」を明確に持っていれば、発信の内容も、選考の基準も、ぶれなくなります。
「うちはこういう人に来てほしい」という軸が会社全体で共有されると、採用に関わる一人ひとりの判断がそろっていく。
場当たりだった採用が、一貫した「会社の意思表示」に変わります。
「投資」として腰を据えて続けられる
採用を経営課題と位置づけると、その活動は「コスト」ではなく「投資」になります。
投資なら、すぐに成果が出なくても、腰を据えて続けられます。
「今月は反応がなかったからやめる」ではなく、「未来の人材のために積み上げる」と考えられるようになる。
この時間軸の違いが、続けられるかどうかを大きく左右します。
経営者が採用に関わるべき3つの理由
「採用が経営課題なのは分かった。でも、忙しい自分が関わる必要があるのか」。
そう思われるかもしれません。
理由は3つあります。
想い・ビジョンは、社長にしか語れない
会社がなぜ存在するのか、何を目指しているのか。
この想いやビジョンを、いちばん本物の言葉で語れるのは、社長です。
求職者が本当に惹かれるのは、整った制度よりも、経営者の「本気の言葉」です。
代わりに語れる人はいません。
だからこそ、採用の発信において、社長の存在は欠かせないのです。
採用は、経営資源の配分判断そのもの
採用にどれだけの時間と予算をかけるか。
誰を、どのポジションに迎えるか。
これは、限られた経営資源をどう配分するかという、経営の中核的な判断です。
現場に「適当に決めておいて」と任せられるものではありません。
会社の優先順位を決められるのは、経営者だけです。
社員を巻き込めるかは、社長で決まる
そして、ここがいちばん大事なところです。
採用の発信は、社長一人ではできません。
とくに採用では、社員が顔を出し、自分の言葉で語ってくれることが欠かせません。
そして、社員が本気で協力してくれるかどうかは、社長の関わり方で決まります。
私たちが実際に見てきた、対照的な2つの例を紹介します。
うまくいった会社の社長は、「やる」と決めたら、まず若手の中からSNS担当を2〜3名指名しました。
「君たちが担当だ」と任せ、責任感を持たせる。
そのうえで、私たち外部の制作チームと一緒に、成果に責任を持ちながらも、楽しく、メリハリのある現場をつくっていきました。
何より大きかったのは、社長自身が率先して撮影に立ったことです。
言葉だけでなく行動で「社長、本気なんだ」と伝わると、社員の空気が変わります。
やがて全員が一丸となって撮影に協力してくれるようになり、結果として、採用応募の増加、フォロワーの増加、そして業界の中での差別化につながりました。
一方で、うまくいかなかった会社もあります。
社長が社員をうまく巻き込めず、現場から反感が出てしまった。
担当に指名された社員が「ただでさえ本業が忙しいのに、なぜSNSまで」と不満を漏らし、協力する空気が育たない。
社内が一つにまとまらないまま、発信が空回りしてしまったのです。
両者を分けたのは、制作のスキルでも予算でもありません。
社長が、社員に「なぜやるのか」を語れたかどうかです。
「なぜ動画やSNSに取り組むのか」「頑張った先に、どんな未来があるのか」。
このビジョンと想いを、社長自身の言葉で語り、協力をお願いする。
採用の発信では、社員の出演が必要不可欠です。
だからこそ、社員に気持ちよく協力してもらえる状態をつくることが、何よりの“一丁目一番地”なのです。
これは、外部の業者には決して代われない、経営者だけの仕事です。
とはいえ、社長が全部やるわけではない
ここまで読んで、「そんなに関わる余裕はない」と感じた方もいるかもしれません。大丈夫です。社長が関わるべきだということと、社長が全部やるべきだということは、まったく違います。
「関わる」と「やる」は違う
社長がやるべきは、想いを語り、方針を決め、社員に本気を見せること。
撮影の段取りや、編集、投稿、分析といった実務まで、すべてを社長が抱える必要はありません。
むしろ、実務まで社長が背負い込むと、忙しさで続かなくなります。
「関わる」べきところと、「任せる」べきところを、はっきり分けることが大切です。
握る部分と、任せる部分を分ける
握るのは、想いと方針、そして社員を巻き込む役割。
任せるのは、制作や運用といった実務です。
制作のプロや外部のパートナーは、止まらない仕組みをつくり、質を引き上げてくれます。
けれど、想いを語ることだけは代われません。
この役割分担ができている会社ほど、無理なく、長く続けられます。
私たちが大切にしている「ファン採用」という考え方も、まさにこの分担——社長が想いを握り、私たちが制作と運用に伴走する——を前提にしています。
ファン採用についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
応募の前に、ファンにする。|中小企業のための『ファン採用』という考え方
経営者として、まず何から始めるか
最後に、明日から動ける一歩をお伝えします。
難しいことではありません。
採用を、経営会議の議題に上げる
まずは、採用を「現場の話」から「経営の話」に格上げすることです。
経営会議やミーティングの議題に、採用と発信を正式に乗せる。
それだけで、社内の位置づけが変わり、担当者も動きやすくなります。
自社の魅力を、言葉にする
次に、「自社は、どんな人に、何を伝えたいのか」を言葉にしてみてください。
完璧でなくて構いません。
社長自身が、自社の魅力と来てほしい人物像を言語化することが、すべての発信の出発点になります。
発信を「投資」と位置づける
そして、採用の発信を「広告費」ではなく「未来への投資」と位置づける。
すぐの成果ではなく、積み上がる資産として見る。
この捉え方ができれば、続ける覚悟が定まります。
詳しくは「中小企業がSNS採用で失敗する3つの理由と解決策」でも触れています。
よくある質問(FAQ)
- Q
忙しくて、採用に関わる時間がありません。
- A
すべてに関わる必要はありません。社長がやるべきは、想いを語り、方針を決め、社員に本気を見せることです。実務は任せて構いません。むしろ、社長の関与は「時間の長さ」より「本気が伝わるか」が大事です。
- Q
採用担当に任せたいのですが、社長が出る必要はありますか?
- A
実務は任せて大丈夫です。ただ、想いやビジョンを語ることだけは、社長にしかできません。社員に協力してもらうためにも、社長が一度しっかり本気を示すことが、結果的にいちばんの近道になります。
- Q
何から関わればいいですか?
- A
まずは、採用を経営会議の議題に上げ、「どんな人に来てほしいか」を自分の言葉にすることからで十分です。発信の実務は、そのあとで担当や外部と進められます。
- Q
小さな会社でも、そこまで必要ですか?
- A
小さな会社ほど必要です。規模が小さいほど、社長の想いや人柄が会社の魅力に直結します。経営者が関わることの効果が、いちばん大きく出るのが中小企業です。
- Q
成果はいつ出ますか?
- A
採用の発信は、積み上げ型です。すぐには出ませんが、続けるほど効いてきます。だからこそ、経営課題として腰を据えて取り組む価値があります。
まとめ
採用がうまくいかない原因は、戦術の前に、「経営の中での位置づけ」にあることが少なくありません。
採用は、会社の未来を決める経営課題です。
そして、社員を巻き込み、本気の協力を引き出せるかどうかは、社長の関わり方で決まります。
社長が全部をやる必要はありません。
けれど、想いを語り、方針を握り、本気を見せること——これだけは、誰にも代われない経営者の仕事です。
ここが定まれば、採用は驚くほど前に進み始めます。
「自社の魅力をどう言葉にし、どう発信すればいいか分からない」。
そんなときは、私たちMOGROWにご相談ください。
社長の想いを、採用の力に変えるところから、一緒に伴走します。
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